【痛みを感じない —— それは"幸せ"ではなく、命の危険でした。先天性無痛無汗症(CIPA)のお話】
- 1 日前
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こんにちは、きしもとカラダcondiTionの岸本です。
私たちの仕事は、患者さんの「痛み」と向き合うことです。肩の痛み、腰の痛み、膝の痛み——できることなら、痛みなんて無ければいいのに。そう思ったこと、誰しもあるはずです。
でも今日は、その「痛みがない」ことが、どれほど恐ろしいことかを教えてくれる病気のお話をさせてください。
先天性無痛無汗症 —— 通称 CIPA。
生まれつき、痛みをまったく感じない。そして汗もかけない。一見うらやましく思えるかもしれません。でも、その実態は想像を絶するものなのです。
◾️ CIPAって、どんな病気?
CIPAは、生まれつき 「痛みや熱さ・冷たさを感じる感覚」が失われ、同時に「汗をかく機能」も働かない 病気です。医学的には「遺伝性感覚・自律神経ニューロパチー(HSAN)」の4型に分類されます。
主な特徴は3つ。
温痛覚の消失 —— 痛みも熱さも感じない
発汗の消失 —— 汗をかけず、体温を下げられない
精神発達の遅れ —— 軽度〜中等度の知的障害を伴うことがある
痛みは、本来「体を守るための警報装置」です。その警報が鳴らないと、どうなるか——次にお話しします。
◾️ 「痛くない」ことが、なぜ命に関わるのか
痛みを感じないと、体に起きた異常に気づけません。
骨折しても気づかず、そのまま歩き続けてしまう
やけどをしても手を引っ込めない
乳児期には、生えてきた歯で自分の舌や唇・指を噛んでしまう(口腔内咬傷)
関節を痛めても動かし続け、関節破壊や骨の変形につながる

さらに「汗をかけない」ことも深刻です。人は汗をかいて体温を下げますが、それができないと体温が環境に左右されて急上昇し、乳児期には原因不明の高熱やけいれん、熱中症のような状態を起こしやすくなります。
つまりCIPAは、「痛みがなくて楽」どころか、常に命の危険と隣り合わせの病気なのです。
◾️ 原因は、痛みを伝える神経が育たないこと
CIPAの原因は、NTRK1遺伝子の変異です。
この遺伝子は、痛みや温度の感覚を脳に伝える神経や、汗をコントロールする神経が正常に発達するために必要な指令を担っています。両方の遺伝子(両アレル)に変異があると、これらの神経そのものが育たず、生まれつき「痛みを伝える配線」が存在しない状態になります。
発症は非常にまれで、日本では60万〜95万人に1人、患者数は130〜210名ほどと報告されています(指定難病130)。
◾️ 治療法は?
正直に言うと、神経を作り直す根本的な治療法は、今のところありません。
そのため治療の中心は、**「いかにケガや異常に早く気づき、防ぐか」**という日常生活の管理になります。こまめに体温を測る、室温を管理する、傷や骨折がないか毎日体を点検する——ご本人とご家族の細やかなケアが、文字どおり命を守っています。適切に管理されれば、成人期まで生活されている方もいらっしゃいます。
◾️ この話を、なぜするのか
私たち整体師にとって、CIPAは施術でどうこうできる病気ではありません。
それでもこの話をしたのは、「痛み」というものの見方を、少し変えてほしかったからです。
腰が痛い、肩が痛い。それは確かに辛い。でもその痛みは、「ここに負担がかかっているよ」「動き方を見直してね」という、あなたの体からの大切なメッセージでもあります。痛みを感じられること自体が、実はとてもありがたい体の働きなんですね。
だからこそ私たちは、痛みをただ消すのではなく、**「なぜその痛みが出ているのか」**に丁寧に耳を傾けたいと思っています。痛みは、敵ではなく、体からのお便りなのです。
神戸市垂水区舞子 きしもとカラダcondiTion 岸本 拝









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